涙の効用

コラム2018.05.19

 涙を流したら、その後で気分がスッキリするという経験は誰にでもあると思います。このことは科学的にもちゃんと証明されています。

 涙には①基礎分泌による涙②刺激による涙 ③感情による涙 の三種類があり、①②と③の涙では成分が違うということを、アメリカのウイリアム・H・フレイ博士が発表しています。博士は、玉ネギを切った時に出た刺激による涙と、映画に感動した時に出た感情による涙を分析し成分の違いを比較しました。その結果、映画に感動したときに出る涙からはACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が検出されました。他の涙からは検出されず、この事実より、ACTHは体内でストレス反応として分泌されたホルモンですので、泣くことで涙とともにストレスも体外へ排出されたということが証明されました。

 赤ちゃんの涙を考えてみると、泣くことは赤ちゃんにとって意思の伝達方法であるばかりではなく、ストレスを発散させるための重要な手段であるといわれています。そのため泣いている赤ちゃんを放置しておくと、親から離れている不安感がたまり、人を信用しない臆病な子になるといわれています。また無理やり泣きやませても、将来人をいじめたりする子になる可能性があるということです。赤ちゃんが泣いている時、やさしく抱きしめて、泣きたいだけ泣かせてあげるのが良いようです。

 もちろん大人でも泣くことを我慢すると、体に良くないそうです。本来なら涙とともに出て行くはずのホルモンを体内に蓄積することでストレスを発散できなくなるので、精神に悪影響を及ぼすばかりでなく、肉体的にも、肩こりがひどくなったり疲れやすくなったりします。またストレスは脳に対しても良くなく、大量の脳細胞を破壊するようで、結果的に、涙は脳の老化予防にもなるということです。

 嬉しいときも悲しいときも、我慢せずに泣きたい時に泣くということは、若さを保つための秘訣かもしれませんね。