紫外線とビタミンD

コラム2018.04.04

ビタミンDは、他のビタミンと違って自分の体の中で合成することができます。体の中でビタミンDが合成される場所は皮膚であり、そして合成には紫外線の助けが必要となります。

 ビタミンDの主な働きはカルシウム代謝の調整です。カルシウム摂取不足やビタミンD不足になると、骨から溶け出すカルシウムの増加などにより、カルシウム蓄積が減少して骨折の危険性も増し、骨粗鬆症の原因のひとつとも考えられています。最近ではビタミンDは筋肉にも作用するため高齢者の転倒予防にも役立つことが報告されています。

 ビタミンDの必要摂取量は、「日本人の食事摂取基準(2005 年度版)」によると、年齢にもよりますが1日4 〜5 μgが目安量となっています。また妊娠中や授乳中の女性はこの1.5 倍が勧められています。ただし、少なくとも中高年女性の約半数ビタミンD不足であることを踏まえ、骨粗鬆症の予防と治療に必要なビタミンDは一日あたり10 〜20 μgとされています。

 摂取法はまず食事からが基本です。食品としてビタミンDを多く含むものは魚類ときのこ類です。これらのうちどれかが毎日の食事に含まれていれば、不足にはなりにくいと考えられます。しかし、実際はカルシウム代謝の点では食事から摂取するビタミンDだけでは不足気味です。やはり、日光による合成もうまく利用することが必要です。皮膚で作られたビタミンDは消化管から吸収されるビタミンDよりも体の中で使われやすいと考えられています。両手の甲くらいの面積が15 分間日光にあたる程度、または日陰で30 分間くらい過ごす程度で、食品から平均的に摂取されるビタミンDとあわせて十分なビタミンDが供給されるものと思われます。介護の必要な高齢者や妊婦さん、授乳中の女性などでは屋外に出る時間をもうけることや、屋内においてもガラスを通さない日光にあたる時間をもうけることが望まれます。